ぷりんちゃん
制服を着る年頃になると、人は師にあだ名をつけるようになる…と言いますが(嘘です)、野だいこ、赤シャツの昔から人は先生にあだ名をつけてしまうもの…あ、坊ちゃんは先生同士でした。
大昔、制服を着る学生だった頃、先生にそれはそれは彩りのあるあだ名を知恵を絞って献上していたものです。
素敵な先生や、人気のある先生には大したあだ名はつきません。
工夫を凝らしたあだ名をもらう先生は、どこかしらなんだか虫が好かない所があったり、歯ごたえがありすぎたり、歯ごたえが無さ過ぎたりするのです。
悪口を言ったり書いたりする時にばれないように、コードネームとして使っていたりするあだ名もありますが、大抵相手には筒抜けです。
子どもと言うのは容赦ないので、私も自分の息子がもしそんなあだ名をつけられていたら、本人の代わりに私がその中学生を殴りに行ってやる…と思うようなひどいあだ名で先生方を呼んでいたりしたものです。
今思うと本当に申し訳なさでいっぱいになります(半分本当)。
あだ名の中には先輩方から代々伝わっているロングヒットなものもありますが、オリジナルな物もあります。
その中で、不肖(ホントに不肖だ)私が考案し、学年中で通用するようになった(クラス中だったかしら…)あだ名があります。
中学1年生の時の数学の先生で、その名も「ぷりんちゃん」。
かなり年配の男の先生で、声は大きいのだけどなにを言っているのかわからない、怒るのだけど怖くないし、本人もあんまり怖くしようとして怒ってない、とぼけたおじさんの先生でした。
事務員さんのように白いワイシャツに、サスペンダーでつったダボダボのズボンに、夏以外は黒い腕カバーをして、黒と銀のアナクロな眼鏡をかけた全くスイーツでない感じの先生。
その彼がなぜ「ぷりんちゃん」なのか。
ぷりんちゃんにはまず、首がありません。
あごがそのまま胸へとつながっています。
そして、なで肩でほとんど肩がありません。
そしてお腹がたっぷりとしています。
シルエットは、電気グルーヴの瀧さんがライブでかぶって踊っていた富士山か、プリンに足が生えたみたいに見えます。
そしてそれだけではありません。
ぷりんちゃんは、今はあまり見られなくなった(当時だってあまり見なかった)ポマードでおしゃれに固めたピッカピカの髪型をしていたのですが、それが全く白髪の無い真黒な髪。
そして、ちょっと見ない位、いつも側頭部を青々と刈り上げていたのです。
方向性はともかくおしゃれさんだったのか、常に青々。
床屋さんにまめに通っていたのか、ひょっとしたら奥さんに刈ってもらっていたのかもしれません。
頭のてっぺんだけ黒々つやつやしている様は、まるでプリンのカラメルのよう…。
わかりにくいかもしれませんので、思いだして描いてみましょう。
こんな感じ。
学生時代、似顔絵の女王と言う、勉強していなさそうな称号をいただいていた私が渾身の力で描いた、ぷりんちゃんです。
似てる…読んでくださっている皆さんを全く置いてけぼりにして言いますが、自信を持って似ていると言えます。
そっくりすぎて怖いくらいです。
このぷりんちゃん…なに言っているのかわからないので、勉強熱心でまじめな生徒さんには不評でしたが、ひょうひょうとして面白い所があり、意外と人気がありました。
私が中学生の頃に、もうかなり年配だったので、ひょっとしたらもう他界されているのかもしれないななどと思ったりしますが、どうでしょう…お元気なのでしょうか。
あだ名の事を考えていると思い出す、あの顔この顔。
ひそかに気にしている事をあだ名につけられて、それを大勢の女子に物陰からかえ歌にされて歌われて、真っ赤になって怒った若い先生もいました。
その女子の中には私も加わっていました…全く面目ない事です。
他の先生から懇々と諭され、それでもなんだか素直に謝れなかったけれど、傷つけてしまった事だけはひりひりと実感され、その後そのあだ名を口にすることはなくなりました。
その時説教をしてくれた先生は藤岡琢也にとても似ていたので、「サッポロ一番」というあだ名がついていました(反省したのか?)。
なぜそんなよしなし事を思い出していたのかと言うと、中学生の息子が学校の先生にあだ名なんてないというのです。
最近の子どもが変わったのか、先生方にそれほどのインパクトがないと言う事なのか(そんなインパクトは必要ないかもしれないけど)。
それとも女子だけなのかしら、あだ名なんてつけるの。
今も女子の間では、おおーっと手を打つようなあだ名をつけていたりするのかしら…うう、聞きたい…(つける薬なし)。
先生は一番身近なスター。
アイドルだったり、面白かったり。
大抵の子どもにとって、はじめて身近に接する家族以外の大人です。
観察して観察して、穴があくほど見ています。
言っていい事と悪い事があるけれど、子どもにとっては、ああだこうだ言いたいみんなの共通の対象です。
今の子どもはテレビの中やネットの中の人たちが身近に感じるから、先生たちの個性にあまり敏感に反応しなくなっているのかしら。
あだ名をつけるのも、テレビの中の人に代わりにやってもらって、カタルシスを得ちゃってたりするのかもしれません。
とか何とか、本当は親の知らない所ですっごいあだ名つけてたりして…うう聞きたい(つける薬ってば…。)
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