泣いたような笑ったような顔をする人
ちょっと前の話になりますが、映画「悪人」のDVDを借りてきてみました。
原作を新聞連載時に1回、図書館で借りてきて2回、友達との話に出たのでもう一度借りて3回と読んでいた私の中に、登場人物が3Dで出来上がっていたので、映画の発表があった時には、「え?ブッキ~?」と正直とまどいました。
原作に確か、長身とあったため、私の中ではもこみち位のサイズに出来上がっていたからです。
しかもけっこうぎらッとした感じに。
今もその像が消えた訳ではありませんが、映画の方を見たら、それはそれとして、やはりうまい役者さんには説得されます。
灯台から夕日を見ている「悪人」の、泣いてるような、笑ってるような、何も心に映していないような、反対に胸がいっぱいな様な、何とも言えない顔がいつまでもいつまでも心に残って離れません。
あの映画で、もうひとつ泣けて泣けて仕方がなかったシーン、娘を殺された柄本明演じるお父さんが殺害現場を訪れた時、目の前にあらわれた娘の頭に手を置いて話す所。
その時の満島ひかりの、ぬれた花が開くみたいな、やっぱり泣いたような笑ったようなすごい笑顔。
今も思い出すと、ゆっくり笑顔になるその顔が目の前に広がるように浮かんできます。
原作ではそんなに心に突き刺さってこなかったシーンでした。それが重い存在感を持って心に残るようになる。満島ひかりさん…やはり希有な役者さんなんだなと思います。
この女優さんは普通に笑っていても、いつも泣いたようにも見えます。
すっごくつらいことなった時に、ヘラっと笑ってしまう人のような気さえします。
そんな風に見えるからそういう役が多いのか「それでも、生きてゆく」でもやっぱりずっと、泣いたように笑っていました。
ちょっと別な話しになりますが、笑わなくていいところで笑ってしまう癖があります。
ものすごく痛くてものすごく不安なのに、お医者さんでヘラっと笑いながら話をしてしまうために、なかなか取り合ってもらえず、くどくど説明していたら、やっと検査。
挙句の果てに「アララ、本当だ。」と言う感じになった事もあります。
ムスメがマイコプラズマ肺炎を起こした時も(はじめての時…その後慣れちゃうほど何度も)どうも本人も、私も平気そうに見える外見らしく、相当しつこくねばってレントゲン撮ってもらったら肺が真っ白だった時もありました。
消しゴムハンコでカッターを使うし、毎日の料理では、火だの包丁だのを使っています。
注意力散漫なせいか、不器用なのか、多分両方だと思うのですが、しょっちゅうあっちこっち、しくじって怪我をします(大けがではない)。
それを、ついつい面白い事でもあったかのように話すので、割にまじめに物事を受け取るタイプの夫が(私だってまじめなんだけど)時々、「危険さをわかっていない。」とか言うような趣旨の事を言って怒りだします。
確かに、あまりにもしょっちゅう、あちこちやらかすので慣れちゃって来てる…という面も無きにしも非ずですが。
痛い思いして怒られて、たまったものではありません。
この間、瓶を割った時にも、切った傷にティッシュを丸めて張り付けて、それがどんどん赤くなってるって位、ぐっさりやっているにもかかわらず、やはり平気そうに見えるのか、父に「(コーヒーに)砂糖を入れてもらえるかな?」と言われてキレそうになりました(あ、切れてるんだけどね…足は)。
映画だとみている人は、泣きたい時に笑う主人公に涙を誘われるけれど、日常生活では、感情表現はわかりやすくした方がいいようです(全然むちゃくちゃストレートにしてるけど?と子どもたちには言われそう…)。
まじめにした方がいい時には、笑わないようにしようと思います。
なんでも冗談にしようと思わないように。
大体、ひどい目に合った時に(大抵自業自得)、次の瞬間には、誰に話したら笑ってもらえるか、ターゲットをしぼるとともに文章まで組み立て始めているんだから始末に負えません。
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